【質問 No.2】ADHAは遺伝する?

 

こんにちは!

 

精神科医のDr.おもちです。

 

今日はこんなご質問です。

 

ADHDと診断された場合、子供に遺伝する可能性はありますか?

また、遺伝以外の影響する原因などがあれば是非教えてください。』

 

 

 

【回答】

 

ADHD(注意欠如・多動症)は

遺伝性が高い疾患だと知られています。

 

なので遺伝するかどうかと言われたら

遺伝する可能性はそこそこ高いと言えます。

 

しかし、                                                                                      

具体的にどの遺伝子が関係しているかはまだ完全にはわかっていないです。 

いくつか候補が挙げられている程度です。

                                                                                 

ですので、                                                                                                                         

遺伝子検査でそのリスクがわかるかというと                                                                   

今の段階では難しいです。

 

 

また、

もちろん子供がADHDになるかどうかは遺伝のみで決められているわけではなく、  

環境の要因も複合的に関連していると考えられています。

 

要因としては

  • 早産や低出生体重児
  • 出産時の問題
  • アルコールやタバコ
  • 妊娠期のストレス

などが言われています。

 

では一つずつ見ていきましょう。

 

・早産や低出生体重児

 早産については、アメリカからではADHD(2243人)の子供たちは、

 そうでない子供たち(5631人)よりも可能性が高い

 ことが報告されています。

 低出生体重児については、

 19件の研究で結果に一貫性がなく

 議論が分かれているところです。

 

・出産時の問題

 出産時の問題については、

 帝王切開

 子癇前症(妊娠中に高血圧やタンパク尿を特徴とする状態)、

 誘発陣痛、

 などでわずかにリスクが上がるという報告がありました。

 

・アルコールやタバコ

 アルコールについては、

 妊娠中のアルコールの使用が子供のADHDのリスクを上げたり、

 また親がアルコール依存症と診断された場合にも

 リスクが上がることがわかっています。

 タバコについては、

 33件の研究をまとめたメタアナリシスで

 タバコはリスクをあげることがわかっています。

 さらに

 父親より母親の喫煙のほうがよりリスクが高いことも報告されています。

 

・妊娠期のストレス

 ここでは主に妊娠中の服薬について説明しますね。

 妊娠中の内服薬については諸説あり、

 アスピリン、吐き気止め、抗生物質などよく一般的に使用されている薬では

 あまりリスクを上げるという報告はありません。

 しかし、

 抗うつ薬については

 妊娠中のどの段階であっても子供のADHDのリスクを高め、

 妊娠前や妊娠初期でリスクがより高い

 ことが言われています。

 

 

結論、、、、、

ADHDは遺伝の影響は大きいものの

それ以外にも関連する要素は多くあるため、

避けられない場合もありますが

現段階でリスクを高めることが分かっている

特にアルコールやタバコなど

避けられるものは避けておくとよいと思います。

 

 

今日も良い日でありますように!

 

↓もう少し詳しく説明しています!↓

seishinigaku.com

 

【質問 No.1】 ADHDは薬で治る?

 

こんにちは!

 

精神科医のDr.おもちです。

 

今日はこんなご質問です。

 

『先日、夫がクリニックを受診した際にADHDの疑いがあると言われ、

 薬と漢方薬の二種類を処方されてきました。

 疑いというだけで、

 確定診断もなされていないのに薬は処方されるものなのですか? 

 また、ADHDは薬を飲まないと治らないのでしょうか?』

  

 ご家族は、

確定診断がついてから初めて薬の処方がされるものと思われていたそうです。

 

 

【回答】

ADHD(注意欠如・多動症の特徴的な症状は

一般的に             

  • ソワソワして落ち着かないという多動や衝動性
  • うっかりミスが多く忘れ物が多いなど不注意

が挙げられます。

 

もしかしたら自分はADHDなのでは?と心配され、

来院される方も多くいらっしゃいます。

 

ですが、

ADHDの診断は確立された検査がないのが現状です。

現時点では脳画像検査や血液検査、脳波ではわからないんです、、、

もちろん研究では様々な初見が得られていますが、

まだ診断に耐えうるものではありません。

                       

もし、

ADHDの診断ができる検査があると謳っているクリニック があったら

眉唾ではないかと少し疑ったほうがいいかもしれません。

 

おそらく担当の先生は、

このように確定診断を行う検査がないということから、

ADHDということを断言せずにADHD疑いとぼやかして言ったのではないでしょうか?

どんなに確信度が高くても精神科医心療内科医は

「〇〇の可能性がある」と断定することを避けます。

もちろん、

検査が全て無駄というわけではなく心理検査などは診断の一助にはなりますよ。

(いざ検査となったらぜひしっかり受けて下さいね)

 

また、

どのようなお薬が処方されたかの詳細はわからないのですが、

ADHDは薬物治療等によっての基本的には完治が難しく、

どちらかというと性格の偏りとも言えます。

(それが強く出るか弱く出るかで、

症状ととらえられたり、性格ととらえられたりするんですね)

そのため、

治療には症状を抑えるといった方針をとることが一般的です。

今回処方されたお薬も

おそらくは症状を少しでも和らげられればと

対症療法(例えば腹痛がある際の痛み止めのようなもの)

として処方されたように思われます。

 

結論、、、、

おそらく処方された先生は

診断の断定はできないけれども、

症状として落ち着きのなさや注意力散漫という症状があるため

それを和らげる薬を使用しましょうということかと思います。

また、

この薬物治療はあくまでも症状を和らげるためであって

その完治は基本的には難しいと思った方がいいと思われます。

ADHDは性格の偏りとも言えますから、、、ね。

 

 

今日も良い日でありますように!

 

 

 

↓もう少し詳しく説明しています!↓

seishinigaku.com

はじめまして!

はじめまして!

精神科医のDr.おもちです。

みなさんにとって精神科とはどんなイメージでしょうか?

最近気分が沈むな、、、やる気が出ない、、、

どことなく体も調子が悪い気がする、、、

病院行った方がいいのかな、、、

でも、なかなか精神科の扉を開くことはないように思います。

精神科は、最近は日本でもかなり身近になってきましたが、

それでもやはり他の科よりも遠いイメージではないでしょうか。

私が診察をして感じるのは、

みなさんとっても頑張り屋で、真面目に、一生懸命、生活されているんですよね。

どの方も、自分の人生を精一杯生きてこられたんだなといつも思います。

頑張りすぎて少し心が疲れた時、精神科にかかることで、その方の背負われた重しが少しでも軽くなったら。

そんな思いで、日々勉強し、治療にあたっています。

このブログでは精神科を少しでも身近に感じてもらえるように、

診察室では中々聞けないことや言いにくいことも含めて質問に答えていけたらと考えています。

あとは読みにくい論文を噛み砕いて伝えられたらいいなとも思っています。

お時間ありましたらぜひ立ち寄って下さいね。

今日も良い日でありますように!